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2020年8月29日(土)午前10時半からKL日本人会において第56回年次総会が開催された。会場となった第1ホールでの参加者は36名(議決権数60)、オンライン参加40名(議決権数42)、委任状109枚、総議決権数は211となった。

012019年度事業報告


総務委員会
  • 毎月理事会の1週間前に招集し、付議提案事項を検討・審議し、その結果を理事会へ報告または上程した。
  • 会の運営上の課題や中長期の各種課題に対して議論を行い、必要に応じ継続的に審議するようにした。
  • 理事会議事録を作成し、理事会の検討事項・審議内容を正確に記録した。
  • 筑波大学マレーシア分校開設に関するアンケート調査への協力を行った。
  • 理事会メンバーへ配布する会則集・細則集の電子化(ペーパーレス化)を実施した。
  • 「在マレーシア日本国大使館附属クアラルンプール日本人会日本人学校における高等部開設に係る要望書」を発出した。
  • 台風第19号災害に対し義援金を募集し、2万1千リンギ(約56万円)を日本赤十字社へ寄付した。
  • 規約担当:法人会員退会の対応策や同好会規定について、規約変更の必要性について議論した。
企画広報委員会
  • 会員の増強・新規獲得と会の魅力向上の2大テーマで引き続き年間活動を実施した。
  • 「子供の日」「秋の味覚を楽しむ会」「クリスマス会」の3つのイベントを開催した。
  • 会員担当:偶数月に「新入会員の集い」を計6回開催、累計124世帯、292名が参加した。
  • ニュースレター委員会:編集会議を毎月開催し、ニュースレターを発行した。また、コンテンツの見直しを行い、2020年4月号よりニュースレターをデジタル化しWeb版への移行を実施した。
クラブハウス委員会
  • CCC取得の為のABP (Amendment Building Plan=改造申請) の申請を行った。
  • 所定の入札手続を経てProgmatic Design Sdn Bhdを発注先として承認し、改装工事を行った。
  • 関係官庁による検査確認を経てCertificate of Completion and Compliance (CCC)を取得した。
店舗委員会
  • テナント店舗各位と懇談会を開催、意見交換を行った。
  • 各店舗との賃貸契約を3年間更新した。(20年4月~23年3月末)
  • COVID-19緊急支援策として、3%(6ヶ月)の値引きを実施することとした。
文化・スポーツ活動委員会
  • 国際交流基金主催の日本語弁論大会、日本語スキットコンテストに協賛、審査員を派遣。
  • 日本語講座12クラス、講習会(料理、バティック等)を開催。
  • 新規同好会3つ(MKゴスペルクワイヤ、ラテン・ソロダンス、チアリーディング スマイリーズ)が発足。
  • 軽音楽同好会が廃止。                           
     
    20年3月末時点
   部  同好会   合計  
文化系 19 33 52
スポーツ系 13 11 24

学校委員会
  • 園児・児童・生徒数の推移:
    ・2019年4月現在の園児・児童・生徒総数は777名、前年同月から4名増加した。
    ・年間を通じては特に幼稚部が貢献して増加傾向をたどり、17名増加した。
     
  幼稚部 小学部 中学部   合計  
2019年4月 92 553 132 777
2020年3月 119 553 122 794
 
  • 学校教育目標と教育の重点:
    ・前年同様「たくましいからだ、ゆたかな心、優れた知性と国際性を備えた児童・生徒の育成」を教育目標とし、“めざす学校像”は「入ってよかった、通わせてよかった、勤めてよかったJSKL」、"めざす子どもの姿”は「元気で最後まで取り組める子、誰にでもやさしく出来る子、夢をもって世界にはばたける子」、“めざす教師像”は「優れた授業で勝負する教師、子どものよさを育て共に成長する教師、常に努力を惜しまない教師」を掲げ、チーム対応での教育活動を推進した。
  • 学校経営3か年計画の実践:
    ・2018年度より取り組んでいる①ICT教育の充実、②英語教育の充実、③心の教育の充実からなる学校経営3か年計画も2年目を迎え、更なる強化を推進した。①はPC、タブレット端末や、ディスプレイモニター等の設置を完了。活用の為の教員研修に取り組み、活用の成果を上げている。②はECコーディネーターを中心に授業改善に取り組み、児童・生徒のレベル別クラスによる効率的な授業を1年間に亘って実践した。③は「心の教育プロジェクト」を立ち上げて道徳授業の充実を図った。また、日本より臨床心理士を招聘し児童、生徒、保護者の相談活動、教員研修を実施し、教育相談の充実を図った。
  • 2019年度決算状況:
    ・一般会計小中学部は小学部生徒数の上振れ、教員数の減少等により136万リンギの黒字。
    ・一般会計幼稚部も園児数の上振れにより11万リンギの黒字。
    ・学校維持会計はCCTV導入延期等で44万リンギの黒字、新校舎会計も246万リンギの黒字。
教育施設管理委員会
  • 帝京マレーシアと現さくらルーム、小会議室、カルチャールーム5の追加賃貸契約を締結した。
  • 帝京マレーシアと会館使用に関する1年間の覚書を更新した。
福利厚生委員会
  • みんなのデンタルケア2019&子供の健康相談の実施、歯科215名、小児科54名、計269名が受診。
    但しJOMFは、2021年3月末にて財団解散を予定しており、本巡回事業も今回で最後となる。
  • はぐくみ会18回実施、合計参加者141名、出産準備教室3コース実施、合計参加者29名。
  • 「予防接種について」、「アレルギーについて」、「デング熱」のセミナー・ヘルストークを夫々開催した。
  • 下肢静脈瘤についてのヘルストークは新型コロナウイルスの影響によりキャンセル。
日本人墓地維持管理委員会
  • 2019年秋の慰霊祭は呉市浄土寺住職念誉和尚を招聘し、例年通り開催した。
  • 2020年春の慰霊祭は新型コロナウイルスによる感染予防に配慮し中止とした。
  • パハン州べントンの華人墓地で発見された数基の日本人墓碑を、クアラルンプール日本人墓地へ移送することに関し理事会の承認を得たが、新型コロナの影響で秋季慰霊祭開催時に延期することとした。
ITシステム委員会
  • 事務作業のIT化に関し、開発業者候補4社よりCNT Solutions Sdn Bhdを選定しプロジェクトを開始。まずその第一ステップとしてウェブサイト・リニューアルを行った。
  • 入退会、会費支払等各種手続きの電子化や会員ポータルサイト開発については依然開発進行中。
盆踊り実行委員会(2019)
  • 2019年7月20日、第43回盆踊り大会を開催。推定来場者数3万5千人。
  • 初の試みとして、「みんなで踊ろう!」をビジュアルテーマとしたV Tuberによるアニメ動画を作成した。
バザー実行委員会(2019)
  • 2019年11月10日、第47回チャリティバザーをプルマンKLCCホテルにて開催。推定来場者数2千人。
  • 売上収益と寄付金を合わせ約14万3千リンギを11ヶ所の福祉施設に寄付する提案をJCKL慈善基金に対し行った。
新年会実行委員会(2020)
  • 2020年1月11日、会員限定の新年会を日本人会会館で開催。推定来場者数2千5百人。
海外安全担当
  • 2ヶ月に一度の「新入会員の集い」で安全対策の講習会を実施。
  • 全マレーシア日本人会連絡会に合わせ、「在マレーシア安全対策連絡協議会」を開催。マレーシア各地の日本人会との共同で、在留邦人の安全対策に係わる情報の共有・交換を行った。
婦人部かとれあ会
  • 社会貢献活動として福祉施設の訪問・支援・交流、慈善活動・行事としてチャリティバザー開催、日本人学校PTAとの交流会実施、日本人会開催イベントへの協力等を行った。
全マレーシア日本人会
  • 第40回目のマレーシア全日本人会連絡会が、2019年10月4日(金)KL日本人会にて開催された。
  • 合わせて大使館主催で第38回安全対策協議会が開催され、マレーシアの安全情報を共有した。

 

02会員数報告

 

( )内は家族会員も含めた人数

会員種類 2019年3月末会員数 2020年3月末会員数 年間増減
法人会員 322社 315社 -7社
個人会員
【内MM2H】
1,760世帯(4,285名)
[328世帯(605名)]
1,680世帯(4,076名)
[313世帯(588名)]
-80世帯(-209名)
[-15世帯(-17名)]
賛助会員 372世帯(878名) 352世帯(681名) -20世帯(-197名)
学生会員 11名 11名 ±0名

032019年度収支決算

 
現金収支 事業収入 472万リンギ(予算比 -1万リンギ) 以下主な差異要因
・ 会費収入等     +6万リンギ
・ 賃貸収入      -3万 〃  
・ 日本語講座等    -4万 〃
事業支出 477万リンギ(予算比 -297万)
・ 運営費         -7万リンギ
・ 水道光熱費      +2万 〃
・ 事務局費用      +2万 〃
・ 購読費・専門家費用   -2万 〃
・ 会員活動費用      -9万 〃
・ 婦人部と墓地関係    -1万 〃
・ 備品購入費       -5万 〃
・ 補修・改修・改装費 -276万 〃
事業収支 -6万リンギ(予算比+296万リンギ)
事業外収支 24万リンギ(予算比+15万リンギ)
・ 定期預金利息    +6万リンギ 
・ 所得税期ズレ    +9万リンギ
経常収支 18万リンギ(予算比+311万リンギ)
財務収支 -5万リンギ(予算比-8万リンギ)
・ 会員預かり保証金返却 -6万リンギ
・ 店舗保証金返却    -1万リンギ
・ SST               -1万リンギ
総合収支 13万リンギ(予算比+304万リンギ)
⇒ 期末現預金残高729万リンギ(次年度繰越)
損益計算書 総収益     508万リンギ
 - 償却前費用   386万   〃  
 - 減価償却費     48万 〃
 - 所得税       10万 〃 
当期利益      63万リンギ
貸借対照表 総資産          1,638万リンギ (前年比+58万リンギ)
・流動資産        762万 〃      ( 〃 +13万 〃 )
  (内現預金     729万 〃 ) ( 〃 +14万 〃 )
・固定資産       876万 〃   ( 〃 +45万 〃 )
負債の部        144万 〃   ( 〃    -5万     〃 )
自己資本(会員勘定)1,494万 〃     ( 〃    +63万 〃 )


クラブハウス改修プロジェクトの実施により、約290万リンギの赤字となる予算計画であったが、当初、最大約300万リンギを見込んでいた「クラブハウス改修プロジェクト」費用は、スプリンクラー設置が不要になったことに加え、その後の削減努力もあり、最終的に約72万リンギまで抑制。現金総合収支として13万リンギの黒字を確保することができたと報告された。

04監査報告

監事より、「2020年6月16日に日本人会一般会計の監査を実施したが、財務諸表は適正性を損なう様な重要な不正・誤謬は認められなかった」との報告がなされた。

05新会館建設積立について

クラブハウス将来計画小委員会より新会館建設積立金について下記2点の報告があった。   

  1. 2020年3月末終了事業年度決算の現金収支プラス分の13万3千リンギを加え、約270万リンギの累計とすることが2020年7月度の理事会で承認された。
  2. CCC取得のための改修・改装工事においては、監督官庁からスプリンクラーの設置工事は求められず、工事費が大幅に削減出来たことから、現状クラブハウス積立金の取り崩しは回避出来る見込みである。

06JCKL慈善基金活動報告

活動概要として、バザー収益金より総額14万3千リンギを計11の福祉施設に寄付したこと、財務報告として2019年度の決算概要が夫々報告された。また、過年度分の免税措置に関しては、2019年12月5日付で内国歳入庁(IRB) から2017課税年度の賦課決定通知書の取消レターを受け取り、慈善基金の免税問題は全て解決した旨報告された。

072020年度予算案

収入:
  • 会費関係は会員数の減少傾向継続に加え、新型コロナの影響で8%の減収予想。
  • テナント収入も新型コロナの影響による業績悪化で、一部テナントの閉鎖・撤退もあり12%の減収予想。
  • 広告関係の収入はニュースレターのデジタル化に伴い大幅に減少。その他会員活動の収入については盆踊り大会の中止もあってこちらも大幅な減収。結果、会員事業収入は昨年度実績472万リンギに対し18%減の389万リンギの予想。
支出:
  • 事業支出は、ITインフラ関係費用があり維持運営費が前年比21%増、水道高熱費5%増、通信費は郵送費削減により6%減、人件費2%増。保険/会計士・弁護士料/不動産税は19%減、会員活動費用は各種イベントの中止により69%の大幅減、墓地はベントンからの日本人墓碑移送費用もあり13%増と夫々予想。
  • 昨年度先送りで殆ど使用しなかった備品購入費はソファ、電子ピアノ、事務局用PC等の購入で大幅増。
  • クラブハウスの補修・改装費用は今期は大きな工事の予定無く減額。IT化推進プロジェクト費用は今年度へのズレ込みにより昨年比32%増。
収支:
  • 会員事業収支は22万リンギの赤字予測。これに事業外収支、財務収支を加えた総合収支は16万リンギの赤字となる予算。
(1)事業収支
(単位=リンギ)
項目
Particulars
2020年度予算
4月-3月
前年実績比
会費等収入
Membership fee Receipt
2,916,353 - 246,764
店舗よりの収入
Tenant Surplus
856,509 - 121,186
その他雑収入
Receipt others
37,170 2,107
活動収入
Activity Receipt
77,100 - 467,436
収入合計
Receipt Total
3,887,132 - 833,279
一般管理費・人件費・通信・光熱・保守修繕・保険料・税金
Administration, Public utilities, communication, Personnel & etc.
3,058,636 165,124
クラブ活動費
Club Activity
257,290 - 563,534
婦人部活動・墓地・備品
Assistance fee, Acquisition
167,450 74,992
補修・改修・IT化
Clubhouse Maintenance
575,820 - 391,565
予備費 他
Contingencies
50,000 47,170
支出合計
Payment total
4,109,196 - 667,813
事業収支 S.Total(1) - 222,063 - 165,466

(2)事業外収支
収入合計(定期預金利息等)
Receipt Total (Interest of FD, etc.)   
216,000 - 24,007
支出合計(所得税・公租公課等)
Payment Total (Income Tax, Levi)
138,626 135,209
事業外収支 S.Total(2) 77,374 - 159,216

(3)財務収支
収入合計(預かり保証金、他保証金、6%サービス税仮受)
Receipt Total (Deposit, 6% SST)
352,865 - 104,087
支出合計(各種保証金の返金、6%サービス税)
Payment Total (Refund of Deposit, 6% SST)
367,708 - 135,399
財務収支 S.Total (3) - 14,843 31,312

 

(4)総合収支 【(1)+(2)+(3)】
総合収支 G.Total (1)+(2)+(3) - 159,533 - 293,371

※次年度への繰越金予想RM7,126,753


クアラルンプール日本人会運営組織図と理事の紹介はこちら

 

今月の写真
<Kwai Chai Hong 鬼仔巷


KLチャイナタウンのメインストリートJalan Petalingの一本隣にあるLorong PanggungあたりはKwai Chai Hongと呼ばれ、新しい観光スポットとして注目を集めている。ニョニャ料理で有名なOld China CaféやBeryl’s Lot18カフェの裏側に位置する。

表紙写真はKwai Chai Hongの入り口で、赤い橋に腰掛けて肩を寄せ合うカップルが建物の壁に描かれている。そして、橋を渡った先は、1960年代にこのエリアで暮らしたチャイニーズの古き良き日常をウォールアートで表現した一角となっている。各アートにはQRコードが添付されており、簡単な解説を見ることができる。

このあたりは、数年前まで人通りが少なく暗い印象が拭えないエリアだったが、2017年にMRTが開通し、Pasa Seni駅エントランスAから徒歩2分という立地にも恵まれ、明るい雰囲気に生まれ変わった。ノスタルジックな雰囲気を残して改装された街並みには、ローカルB級グルメを提供する改装カフェやレストランが軒を連ね、Kwai Chai Hong人気を後押しし、地元の人や観光客で賑わいを見せている。


 

かとれあ会
<2020年度 役員便り>


年次総会を終えて、7月15日に今年度の第1回役員会を開催し、以下の通り年間活動計画を取りまとめました。

  1. 月1回、正副会(役員会開催のための準備会)を開催する。
  2. 毎月、第1週の火曜日に定例役員会を開催する。但し、祭日によって変更の可能あり。
  3. 年2回、施設ボランティア活動グループ連絡係連絡会を開催する。
  4. 年1回、クアラルンプール日本人学校PTA役員との連携会議を行う。
  5. 9月以降に寄付先福祉施設を訪問する。
  6. 8月~11月に4~5回程度、チャリティバザー開催のための地区バザー委員会、バザー実行委員会を開催する。
  7. 11月初旬に第48回チャリティバザーを開催する予定。
  8. 翌年2月~3月にドネーション贈呈式、社会見学・講習会開催、次期役員選出活動を行う。
  9. 翌年4月以降(会計年度終了日以降)、かとれあ会年次総会を開催する。
  10. 日本人会主催年間行事のお手伝いをする。

 

2020年度チャリティバザー作品紹介

 

 

 

2020年度 地区バザー委員紹介

バングサ地区 児玉佳代、高橋真以
モントキアラ地区 葛間香織、八巻綾子、西山美里
PJ地区 斉内妙子、服部美紗代
スバン地区 田中睦世、丹沢さやか、前西希(李語希)、眞鍋鮎美
タマンデサ地区 濱崎会美、清家利沙

 

今年度のかとれあ会のカラーは「パープル」です。
パープルは奉仕のエネルギーを持つ色ともいわれています。

今年度のかとれあ会、笑顔でがんばります。

 
JICAだより
マレーシア日本国際工科院のCOVID-19特別支援

<ラボを開けて! 卒業生シャフリーナの挑戦>

JICA専門家 岡野貴誠

◆シャフリーナからの連絡
 「医療物資がない! 政府からの支給も止まった! 誰か助けて!」。3月18日(水)の行動制限令の発令以降、シャフリーナも在宅勤務となり、家族と共に不安な日々を送っていた。そんな中、何気なく見ていたSNSにあった医療従事者の悲痛な叫び。「今、この瞬間も戦っている人たちがいる」、投稿を見たシャフリーナは、いてもたってもいられなくなったという。

 シャフリーナは2019年にマレーシア日本国際工科院(MJIIT)の機械精密工学学科を卒業した。在学時には日本への短期留学や日本企業でのインターンシップを経験するなど、充実した学生生活を送っていた。また4年次には工作機械を使ってモノづくりに取り組む授業のプロジェクトリーダーも務めていた。「工作機械に関する知識とスキルを活かせないか」、とシャフリーナは考えたという。そして、医療従事者の飛沫感染を防止するエアロゾルボックスの開発を思いついた。

 すぐにインターネットで情報を探し、製図を試みた。学生時代に親しんだAuto Cadを使っての作業だ。指導教官だった石松助教にもアドバイスを求めた。翌日の深夜におおよそのデザインができあがる、これなら実際に製作できるかもしれない。「ラボを開けてほしい、工作機械を使いたい」、シャフリーナは母校MJIITのアズワディ副院長にWhatsAppでメッセージを送った。3月26日(木)の出来事であった。

◆ 試作品の開発
 その日、ちょうどMJIITではCOVID-19感染対策研究チームが発足するところであった。そこでアズワディはアイデアを実現できるよう、シャフリーナが研究チームへ参加できるよう大学と調整した。しかし、研究チームへの参加には、大学に行く必要がある。町は厳格なロックダウン下にあり、近隣への買い出し程度しか外出は認められていない。指示に従わない人たちが、逮捕されるケースも頻発していた。シャフリーナの住むクランから、大学までは40キロを超える距離。州をまたぐ移動が問題だった。
 翌日3月27日(金)、シャフリーナは、研究チームの一員であるハイルールに相談した。相談を受けたハイルールは、保健省にかけあい、研究チームへの彼女の参加が重要と訴えた。その結果、保健省も州を跨ぐ移動を認める特別のレターを出した。ただ、大学の研究者ではないため1日だけ有効のパスだった。

 「シャフリーナに許された時間は1日しかなかった」、ハイルールはできるだけ彼女が効率的に作業を行えるよう対応を考えた。そこで、研究チームのドクターに協力を仰いだ。また、製造作業を担うスタッフの増員も大学に依頼。さらに、事前に送られてきた製図をもとに、相談を受けたその日に試作品を製造してシャフリーナを待った。
 3月28日(土)、何度も検問で止められながら大学へたどり着いたシャフリーナを、2名のドクターと6名の作業員、そして事前に送ったデザインをもとにハイルールが製作した試作品が迎えた。到着早々、自己紹介もそこそこに、すぐにドクターによる試作品の評価を始めた。機器の配線への考慮、ボックスの高さや角度、手を入れる穴のサイズ。シャフリーナはメモを取り、すぐにパソコンでデザインを修正していく。(写真はドクターによる試作品の評価)

◆病院への寄贈
 こうして夕方、プロトタイプの開発が完了した。その日のうちに研究チームが病院に運搬。一定期間利用し、後日さらに修正を加えることになった。最終的に製造されたエアロゾロボックスは30セット、すべてマレーシア中の病院に寄贈された。製造に係る費用は大学がすべて負担した。
 「最後まであきらめないこと、現状に満足しないこと、MJIITで学んだモノづくり精神が自分の行動の原点」、シャフリーナは言う。「私は医者じゃないので患者は助けられない。でも、COVID-19への戦いにはそれぞれの役割がある。私はエンジニアとして何かができる」、そう信じていたという。そして、その実現のために助けを求めたのが母校MJIITの教員であり、そのアイデアの実現に取り組んだのがハイルール等のMJIITスタッフであった。たった3日間の出来事である。モノづくりの実践を通じて育ったMJIITの卒業生はきっとマレーシアの各地で挑戦を続けている。写真は試作品とシャフリーナ(右)。

著者紹介:岡野貴誠(おかのたかせい)
国際協力機構(JICA)専門家、「マレーシア日本国際工科院強化プロジェクト」チーフアドバイザー。博士(人間科学)、専門は教育工学、工学教育。
連絡先:okano.takasei@utm.my

 
今月のローカル食材
魚シリーズ①Ikan Bawal

料理講習会講師 ちはる

マレーシアに来て、魚を食べたいと思いスーパーなどに行くと、見慣れない魚の種類にまずは戸惑い、そして切り身で売られていることが少なくてますます自信喪失。結局、見慣れたサーモンや冷凍秋刀魚のローテーションになってしまっているという話をよく聞く。下処理されたパック売りの切り身魚を恋しく思っている方も多いのでは。

マレーシアで魚を美味しく食べよう! 第1回は、マレー語で『Ikan Bawal』と呼ばれている魚を紹介する。マレーシアの魚は、ちょっと脂乗りの少ない種類が多いが、適した調理法で作ればなかなか美味しいのである。
今回は少し青光りしてツルツルとした手触りの『Ikan Bawal Putih』と、よく似ているけど表面のツヤ度はいま一つでヒレの先端が少し黒い『Ikan Bawal Tambak』を使う。行きつけの魚屋のおばちゃんによると、ほぼ味の差はなくて好みだと言うが、私としては『Putih』の方が風味がよく、『Tambak』の方が身がふっくらしているように思う。(私の好みはPutih)

この2種は断然、蒸し料理がオススメ! 揚げたりするのは勿体ない。

蒸し Ikan Bawalの作り方
数年前、日本人会での料理講習会で「簡単で絶品!」と評してもらったのでかなり自信ある料理法である。蒸すことによって出る、魚と梅干しの酸味が混じりあった魚汁は絶品。

①内臓を取り除き(鱗はない) 、塩水で静かに洗い(特に内臓あたり)、キッチンペーパーで水分を拭き取り臭みを取る。
②両側の側面に包丁でバツ印に切れ目を入れ、少しヘリのある皿に載せ(蒸すと汁が出てくるので)、塩、白胡椒、ゴマ油を垂らす。

ツルツルとした手触りの『Ikan Bawal Putih

ヒレの先端が少し黒い『Ikan Bawal Tambak

塩、白胡椒、ゴマ油で下味をつける


③玉ねぎ(スライス)、生姜(千切り)、大蒜(スライス)、トマト(スライス)、小ネギ(小口切り)、梅干し(小さくちぎる)の順に魚の上に載せたらゴマ油を垂らし、白胡椒、塩を振る。(内臓を取り出した部分に梅干しの種と生姜入れると、なお臭みが取れて良い)
④蒸し器(私は大きめ中華鍋に水を張り代用)の中の水が沸騰して湯気が出たところで皿を置き、約15分蒸す。

2匹分の具材

蒸す前の状態

15分ほど蒸したら完成!


次回は、他の Ikan Bawalに適した料理法を紹介する。

 

今月の漢方
<五色と五臓六腑>

国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和


漢方や薬膳をはじめ東洋医学を知るときに必ず出てくる五行色体表。
この表は「万物は木、火、土、金、水の5つの元素で成り立っており、それぞれが互いに影響を与え合い、変化し、循環する」という五行説から来ている。

 

これを日々の生活に当てはめていくと面白い。

例えば…

1「美白には白い食べ物」
白は肺や大腸を表す色。肺は毛穴や皮膚の状態を司るので「肺に良い食べ物を食べると、肌もきれいになる」というわけ。また、大腸の状態は如実に肌に出る。吹き出物が多いときは、まず便通をよくすると改善する。

2「アンチエイジングには黒い食べ物」
黒は腎を表す色。漢方でいう腎は両親から受け継いだ生命の源をためる器であり、発育や生殖を司って、年齢とともに衰えの見えやすい臓腑でもある。黒ゴマ、黒米、黒豆などの入った黒五類という粉末飲料はマレーシアでも健康食品として人気である。

3「夏野菜の赤と苦み」
夏場は心の働きが活発になる。もともと体内の火を象徴する心は、気温が暑いのもあって夏にはオーバーヒートしがち。赤いトマトやスイカ、キュウリや苦瓜、へちまなど苦みのある瓜類で心の働きを補う。マレーシアでは表面がすべすべで苦みの少ない苦瓜が日常的によく食べられている。日本で見かける表面にイボがあって苦みの強いゴーヤーはデング熱など熱証が強いときによく使われる。

などなど。
現代医学でも説明がつくものもあれば、暮らしの知恵として根付いてきたものもある。
あなたが思いつくものは何だろう?

 

今月のおうちdeエクササイズ


当会の「呼吸法&体幹ゆるトレ同好会」NICO先生にご自宅で実践できる室内運動をご紹介いただく。

NICO先生からのメッセージ 
早くももう9月ですね。今年は世界的に予測のつかない日々となりましたが、どんな時も健康第一☆
Stay Healthy & Happyということで、エネルギーみなぎる午前中、午後の一息に、またお休み前などいつでもお好きな時間に、おうちでのエクササイズを楽しみながら取り入れてみて下さい!
(^^)また、安全の為に出来るだけ長いバスタオルを使い、余裕があれば短く持つ事で調整なさって下さいね♪


①00:14~ 深呼吸・スワンエクササイズ(腕・肩甲骨周りほぐし)
②00:58~ 腕・胸の筋肉のエクササイズ3種類
③02:07~ 土踏まずのマッサージ&股関節周辺ほぐし
④02:54~ つま先伸ばし&フレックス(足の甲、足裏、足の指先、足首、ふくらはぎのストレッチとエクササイズ)
⑤03:44~ タオルを使った体側のストレッチと体幹強化エクササイズ
⑥05:33~ タオルを使った肩と胸の筋肉のストレッチ、背中の強化エクササイズ
⑦07:20~ タオルを使った肩・二の腕のストレッチ
⑧09:55~ 内もも引き締めエクササイズ
⑨11:42~ 内もものストレッチ
⑩12:53~ 踏み込みバランス(ヒップアップエクササイズ)
⑪14:52~ タオルを使ったもも裏ストレッチ

安全&効果的におこなって頂く為に、最初から通して実践することをお勧めします。

 

2020年アジア域内事務局長会議に参加


今年は8月1日(土)、インドネシア、ジャカルタで開催予定だったが、新型コロナ感染予防の観点から、Web会議ソフトZOOMを使ったオンライン会議で実施された。当KL日本人会からは昨年に引き続き柳井事務局長が参加。今回はオンライン会議で移動を伴わなかった為か参加者が例年になく多く、マレーシアからは例年通りペナン・KL・ジョホールの各日本人会、その他の国からはタイ国日本人会、シンガポール日本人会、ジャカルタ日本人会、香港日本人倶楽部、台灣日本人會、ベトナム日本商工会議所(ハノイ)、ホーチミン日本商工会議所、ヤンゴン日本人会、マニラ日本人会と、この会議に声掛けをしている9か国12ヶ所全ての日本人会から事務局長若しくは代理の参加があった。

まず開催予定地だったジャカルタ日本人会事務局から挨拶があり、引き続いて第一部として各日本人会から政治・経済・会の運営等に関する報告となったが、今回は特に新型コロナ問題による会の活動、収益への影響についても各日本人会から報告があった。

一部の国を除けば、各日本人会共に会員の減少がここ数年の共通の課題であるが、今年は新型コロナ感染予防の観点から各国政府が入国を厳しく制限していることで、新規赴任者が来られないことが個人会員減少に拍車をかけている。特にタイは日本人8千人、家族を含めると2万5千人が日本で渡航待機中との情報があるとのこと。また法人会員についても、新型コロナの影響による業績悪化での閉鎖・撤退・事業縮小・経費節減などで退会者が増えているのは各日本人会共通の状況だが、ホーチミンでは法人会員の退会も多いものの、逆に新型コロナに関する他の日系企業の対応情況を知りたいという理由での新規入会もあって、会員数は横這いとの話が興味深かった。(但しベトナムは商工会議所で個人会員無し)

午後からの第二部では、幾つかの会から議題が提起され、それについてのフリーディスカッションとなった。ここでは如何にして会員を増やすかについての各会の取り組み状況が最初の議題であったが、特に活動が一番活発と思われるタイ国日本会でさえ、全邦人数に占める会員数の割合が嘗ては40%だったものが、現在は9%にまで減少しているとのことだった。邦人の絶対数の増加もあるが、邦人社会の多様化、ロジスティクスの進化・発展、インターネットの普及等が要因と思われる。他にはチャリティイベントと寄付に関する問題、事務局のIT化(入会手続、会費支払、会報誌等の電子化)などについての意見交換がなされた。

来年は8月7日、当地クアラルンプールで開催予定。

 

えっ!マレーシア
<MCO下、交通死亡事故が多発>

活動制限令によって交通量が減っているにも関わらず、交通死亡事故が多発している。3月18日~6月9日までのマレーシア国内の交通事故死亡者は507名で、同日までのCOVID-19の死者(117名)の4倍以上にも上っており、マレーシア保健省が懸念を示した。
交通事故によるダメージは、事故当事者はもちろん負傷者の施術や治療にあたる病院側にも及び、COVID-19対応で緊張が走る医療現場にとっては深刻な問題である。
重傷者には輸血も必要であり、保健省は国民に献血を呼び掛けている。

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