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今月の写真
<緋寒桜のアレンジメント>

 



例年クリスマスが過ぎ1月に入ると、当地のお花屋さんは旧正月用の花々でいっぱいになる。今年は早咲きの桜、緋寒桜(ヒガンザクラ)を見つけたので、日本人会新年会をイメージして当会会員さんにアレンジしていただいた。緋寒桜は桜の中でも特に色が濃くて美しい品種とされるが、皆さんは会館ロビーに展示していたこの桜にお気づきだっただろうか。

緋寒桜について調べてみると、原産地は中国南部や台湾とされており、日本では一番早咲きの桜として沖縄で1月~2月ごろに花をつけるようだ。彼岸桜と混同されやすいため、寒緋桜(カンヒザクラ)や緋桜、台湾桜とも呼ばれる。Bangsarにあるお花屋さんでは「sakura 」「import」と書かれていたので中国からの輸入品と思われる。

そしてマレーシアではお馴染み、オレンジ色の苞と青紫色の花びらの「ストレリチア」も、その特徴ある姿から一際目を引く。極楽鳥に似ていることから極楽鳥花とも呼ばれ、全体を華かにしている。花びらの縁取りが緑色のクリサンセマムや深緑の紫陽花(アジサイ)などグリーンを多用したアレンジメントだけに、桜の緋紅色と鮮やかな橙色が印象的で、新年会に訪れる人々を歓迎しているように感じられた。

 
 
 

鏡開きと乾杯
(左から) 岡部KL日本人会会長、髙橋特命全権大使、 児島JACTIM会頭

 

マレーシア在住の会員の皆様にも日本のお正月を感じていただきたいと企画されたKL日本人会の新年会が、髙橋大使ご夫妻ご臨席のもと1月8日(土)に開催された。オミクロン株がマレーシアでも広がりつつある中で開催が危ぶまれていたが、マレーシア警察からの開催許可も無事に下り、規模を縮小しながらどうにか実施することができた。
当日は、様々な規制がある中でも500名を超える来場があり、ステージパフォーマンスや各種アクティビティー、作品展示等を楽しんでいただくことができた。ご家族一緒に館内を巡りながら催しを楽しまれる方が多く、微笑ましい光景があちらこちらで見られる和やかなファミリーイベントとなった。
今年中にはコロナが収束し、2023年の新年会にはより多くの方々に安心してご来場いただけるイベントとなることを期待したい。
  JSKL幼稚部の演技
 
 

園を代表して年長の2つのクラスが踊りを披露
さくら組は中国の踊り

あやめ組はインドの踊り
最後の決めポーズもバッチリ!

  部・同好会の発表
 

キッズヒップホップダンス
MCO期間中もオンラインで練習を継続してきた成果を披露。いろいろなステップを組み合わせて作り上げたオリジナル曲

KLフラハイビスカス 子ども
ディズニー「モアナと伝説の海」主題歌とリロ&ステッチのメドレーをダンス。ハワイの風が感じられたステージ

KLフラハイビスカス(大人)
ハワイのカウアイ島の曲を1曲、そしてハワイ島の曲を2曲。大切な人を歌った曲で美しさを表現

杖道・居合道の演舞
居合道とは日本刀を用いて型を演舞する日本古来の武士道

バラードバンドサークル 演奏
今回はピアノとボーカルの2名によるユニットで、スローバラード11曲を披露

合気道体験
合気道部の皆さんに技を披露してもらったのち、体験の時間が持たれた

  キッズコーナー
 

ヨーヨー釣り
'こより'が破れる前に釣れたかな?

射的
男子だけでなく女子にも大人気

キッズもちつき体験
JSKLの先生方がサポートしてくださり約120名のお子さんが体験

  作品展示
 

JSKLの児童・生徒による書初め

折り紙部
​​​​​​干支の置物からピカチュウまで、折り紙の楽しさが感じらる作品の数々

パッチワークキルト同好会
​​
​​​​​かわいい小物や大型作品ベッドスプレッドなど、部員みなさんの作品を多数展示

  館内の様子
 

メインドアのしめ縄は'紙をよる'ところから手作り
 

今年は入場券を用意し、入場人数を管理しながら実施

髙橋大使ご夫妻と岡部会長(左)

心安らぐお茶室で初釜のおもてなし

永尾さんファミリー
「射的とヨーヨー釣りは初めてだったけど、やさしく教えてもらってうまく出来ました。とても楽しかったです! 餅つきは杵が重たくて真ん中に当てるのが難しかったです。もっと鍛えて自分でお餅を作ってみたいです。」

山本さんファミリー
「娘は初めて餅つきを体験させていただいて、大満足でした。ヨーヨー釣りも楽しかったようですが、射的が楽しいーっと喜んでいました。また家族で参加したいです!」

救護コーナー
看護師と日本語通訳のお二人

来場者におみやげ
事務局窓口で先着500名に餅を配布。おみくじ付きの「福もち」で、この一年皆様も福持ちに!?

 

実行委員会からご挨拶    委員長 本村 努
 

昨年は開催することができなかったKL日本人会新年会。今年は2022年1月8日に無事開催することができました。来場者数は500名強と前回を下回る来場者となりましが事故、怪我など無く、開催に対して多大なるご協力を頂いたボランティアの皆様、実行委員の皆様、事務局の皆様含め全ての方々へこの場を借りて御礼申し上げます。有難うございました。

正直申し上げまして、厳しいSOPに準じたイベントとなり規模も大幅に縮小しての開催となりましたが、今年ほど開催することに意味を持った新年会は過去になかったかもしれないと個人的に思っております。世界を席巻したコロナパンデミック、そして洪水など厳しい状況が続いておりました。そして子供たちは価値あるリアルの対話や体験をはじめ、日本の文化や芸能にふれる機会も奪われておりました。私は今回の新年会を通じ、人として大切なリアルなふれあいこそが次の時代へつながると実感致しました。
部・同好会の皆様の情熱あふれるパフォーマンス、感動の作品展示、JSKL児童・生徒達の書初め展示に加え、射的やヨーヨー釣り、合気道体験、 餅つき体験、多くのシーンが貴重な体験としてみなさんの記憶に残ることと信じております。

皆様のお力を借りながら来年はさらに素晴らしい新年会にさせていくよう努力致します。
今後もKL日本人会へ温かいご支援とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
最後に2022年がみなさまにとって良き年になることを心からお祈りいたします。

新年会実行委員会
本村委員長 

 

新年会にご協力いただいた方々
 
AEON Co. (M) Bhd
AEON Credit Service (M) Bhd
Akomori Sdn Bhd
Hitachi Asia (M) Sdn Bhd
Itochu Malaysia Sdn Bhd
Panasonic Manufacturing Malaysia Bhd
Ramsay Sime Darby Health Care Sdn Bhd
SECOM (Malaysia) Sdn Bhd
Tokio Marine Insurans (M) Bhd
Tokio Marine Life Insurance Malaysia Bhd
かとれあ会役員
クアラルンプール日本人学校
KL日本人会クラブ活動(部・同好会)
帝京マレーシア日本語学院
その他ボランティア

以上、多くの方々にご協力いただきました。 厚く御礼申し上げます。
第27回新年会実行委員会

壬寅の今年が良き年になりますように!  


 


かとれあ会<役員リレーコラム>


今回のコラムは、広報兼渉外担当の安松英子さんです。安松さんは、JSKLのPTA会長も兼任なさっているという正に架け橋的な存在です。かとれあ会でも一本筋が通っていながらも柔軟な活動ぶりは頼りにされております。


『マレーシアとのご縁』

安松英子

今から遥か昔の20代の頃、当時住んでいた大阪の求人広告誌を見ていて、"まかない飯付き”の言葉に強く惹かれ飲食店のアルバイトに応募しました。ベトナム、タイ、マレーシアやシンガポールなどの東南アジアのメジャーな料理を提供するお店でした。それまでアジア料理の存在すら知らなかった私にとっては、未知の料理ばかり。メニューを見てもイメージ出来る料理なんて全くありませんでした。特に、パクチーは衝撃的でした。匂いも食感も今まで体験したことのない強烈さに慄きましたが、口にする機会が増えるごとに不思議と美味しいと感じるようになり、今では大好きな食べ物です。
このアルバイト経験をきっかけに東南アジアに興味を持ち、念願だった駐在が叶い、今に至ります!!...と言いたいところですが、旅行に行く訳でもなく、駐在願望など全くなく、強いて言えばアジア料理が好きになったことだけに留まりました。




それから十数年後、降って沸いた主人のベトナムへの転勤。その後、マレーシアに参りました。現地で本場のフォーや生春巻き、ミーゴレンやサテが食べられる生活を送ることになるなんて、日本でアルバイトをしていた頃には想像できませんでした。こんな形でのご縁もあるもんだなと思う時があります。マレーシアに来て5年が過ぎましたが、まだまだ体験していない料理がたくさんあります。新たな料理との出会いを求めて日々アンテナを張り巡らせようと思います。

 


リサイクルKiosk開催!

 

リサイクルKiosk開催日
2月19日(土)20日(日)

おうちで眠っている不用な学用品をお譲りください!

サイズアウトした靴・上靴・体操服・スクールポロシャツ・ノート(未使用)・文具・探検バッグ・算数セット・粘土板・裁縫セットetc..

回収させて頂いたリサイクル品は、JCKLかとれあリサイクルKioskで販売、売り上げは福祉施設へ寄付されます。

学用品リサイクル回収

  • 期間:2月15日まで
  • 場所:日本人会かとれあ室前
    リサイクル品Drop Boxにて回収
    詳しくはこちらをご参照ください
  • 問い合わせ先:かとれあ会
    cattleya2021japan@gmail.com

 


次年度かとれあ会役員募集


婦人部かとれあ会では、次年度(2022年度)役員推薦立候補者を募集しております。詳細はこちらからご確認ください。

 

heart かとれあ会の年間活動

  • チャリティバザー開催
  • かとれあkiosk
  • 寄付先施設訪問
  • 福祉施設ボランティア
  • 日本人会行事お手伝い
  • ドネーション贈呈式

 Join our team! cattleya2021japan@gmail.com

 

 


大使館からこんにちは

< 東方政策40周年~人材育成が繋ぐ日本とマレーシアの40年~>

在マレーシア日本国大使館
総務儀典部長 山根賢太郎

 


< マレーシア政府による公募で決定した東方政策40周年公式ロゴ >

皆さんは、マレーシアの東方政策をご存知ですか? ルックイースト政策といった方がなじみがある方もいらっしゃるかも知れません。

東方政策とは、戦後の日本の経済発展は日本人の労働倫理や学習・勤労意欲、道徳といった点によって支えられていたと考えたマハティール首相(当時)が、これらを日本から学ぶことでマレーシアの経済や社会を発展させることを目指して、1982年に開始した政策です。つまり、今年は東方政策開始からちょうど40周年にあたるわけです。

東方政策の下で、多くのマレーシア人が日本の大学や高等専門学校に留学しました。また、日本の民間企業や地方自治体、国際協力機構(JICA)が受け入れた多くのマレーシア研修生が、産業技術や経営スキルを身につけてマレーシアに持ち帰りました。

東方政策は基本的にマレーシア政府の予算で実施されています。1990年代後半のアジア通貨危機によりマレーシアの財政が厳しくなった時期には日本の円借款によって継続されましたが、その後マレーシア政府負担での実施に戻っています。
 

一方、日本政府は様々な形で継続してマレーシアの東方政策を支援しており、日本に留学予定の学生に日本語予備教育を施す講師を派遣したり、日本の民間企業や地方自治体によるマレーシアの行政官の研修受入をサポートしたりしています。

東方政策のもとで派遣された留学生や研修生は今では2万6千人を超えております。これだけ国をあげて日本での留学・研修を推進する例は、他の国ではなかなか見当たらないのではないでしょうか。

東方政策により育まれた人材は、マレーシアの産業や社会の発展を支えてきただけでなく、日本とマレーシアの架け橋としても重要な役割を果たしてきました。おそらくマレーシアにお住まいの皆さんであれば、マレーシア人がおしなべて親日的であると感じていらっしゃることと思います。このことは、東方政策によって日本に親しみと友情を感じているマレーシア人が生み出され続けてきたことと無関係ではないと思います。

東方政策留学生として日本への留学を控えるマラヤ大学・日本留学特別コース所属学生の卒業式(2020年2月)

大使館業務の中で、政府関係者をはじめとして日本での留学・研修経験があるマレーシア人と出会うことは非常に多いです。東方政策以外の留学・研修も含めれば、マレーシア政府各省庁の次官級ポストのうち、実に5割以上が日本での留学・研修経験者で占められているという驚くべき数字もあります(2022年1月時点)。また、ビジネス界においても日本での留学・研修経験者は多く、日本語や日本人の働き方をよく理解する人材がいることで、日本企業がマレーシアに進出しやすくなり、そういった企業の存在がさらに日本をよく知る人材を育てているという良いサイクルが生まれているといえます。

世の中が変わっていくにつれて、東方政策も変わっています。留学生や研修生が日本に渡航するパターンだけではなく、マレーシア国内における人材育成に対する支援も日本政府は積極的に行っています。80年代の職業訓練指導員・上級技能訓練センター(CIAST)への支援から、2010年代のマレーシア日本国際工科院(MJIIT)設立支援、そして筑波大学の海外分校開校に向けた取組など、人材育成分野は職業技能だけでなく高等教育分野にも広がりつつあります。

大使館としては、東方政策40周年をきっかけとして、日本とマレーシアの友情をさらに強くしていきたいと思っており、40周年記念行事を募集しております。日・マレーシア関係に関する行事である限り、40周年を冠した事業として幅広く認定していくつもりです。是非こちらを御覧ください。
https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_11012022.html

 

 
今月のローカル食材​
<マレーシアのハーブを食べよう② ミント入りバーグ>
 



マレーシアでは実にいろいろな種類のハーブが売られている。今回は身近なハーブの一つ、ミントを使ったメニューを紹介しよう。

ミントと言えば、サラダにサンドイッチにと生で使うのが最もポピュラーではないかと思う。ミントは熱を加えると口の中で香るスーッとした清涼感がほとんどなくなり、料理の味にぐっと深みが出るのである。インド料理のビリヤニ(炊き込みご飯)にも欠かせない香草である。意外と和風メニューにも合うので、ぜひ日々の献立に取り入れてみよう。

 

 

デトックス、殺菌効果、喉の痛みをやわらげる、整腸作用、胃潰瘍予防、血流を良くするなど、期待できる効能が非常に多い

 *材料
  • ミント(葉の部分) 30g
  • 牛肉ミンチ 200g
  • オイスターソース 小さじ1
  • 卵 1/3個
  • 片栗粉 小さじ1
  • 酒 小さじ1
  • 黒胡椒 少々
  • ガラムマサラ 少々 (あれば)
  • 塩 少々

*作り方

ミントは葉をもぎ取り、ザク切りにする

ひき肉にミントとすべての調味料を入れ、少しこねる

手に油をつけて小さめバーグを成形し(大きいとミントの部分で割れやすい) 、油(分量外)を引いたフライパンに乗せる

数分強火で焼き、蓋をして弱火で数分、裏返して数分焼く

竹串を刺し、濁った汁が出てこなければ焼き上がり

ヘルシーなミント入りバーグの出来上がり!

<ミント入りナシゴレン>
辛めに作った炒飯はミントと合って美味

<ミント入りチキンの煮物>
醤油味のやさしい味

 

*このシリーズで紹介して欲しい食材や調味料・スパイス等あれば、事務局までお寄せください。office@jckl.org.my
 
 


今月の漢方
<肉骨茶(バクテー)と漢方>

 

国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和


肉骨茶の黒と白(下)


 
 

マレーシアの中華系スープの代表、肉骨茶(バクテー)。ご存じのように、肉骨茶には黒と白があって、マレーシア中部以北では、漢方薬をきかせて黒醤油で味付けした黒い肉骨茶、ジョホールやそのお隣のシンガポールでは胡椒をきかせた透明に近い白い肉骨茶が主流。肉骨茶をバクテーと呼ぶのは、福建省近辺の方言が由来であり、確かに黒い肉骨茶の発祥の地クランも、白い肉骨茶のシンガポールも福建系華人が多い。

白い肉骨茶は胡椒をきかせたスープに豚のスペアリブ入りというのが定番で、黒い肉骨茶は、お店でスペアリブやバラ、モツなどの豚肉の部位を選択し、油揚げやエノキダケも加えてスープと一緒に煮込んで提供されるという違いもおもしろい。

最近、日本でも肉骨茶の知名度が上がり、スープの材料がセットされたものや、レトルトパックも買えるようになった。ここでは、肉骨茶(黒)に使われる漢方薬について紹介してみよう。

肉骨茶(黒)用の漢方薬は、スーパーの調味料売り場でも手に入るし、街中の乾物漢方食材店ではその店独自の秘伝の調合が売られていることもある。基本の配合は、黄耆、玉竹、川芎、熟地、党参、桂皮、当帰、八角、白朮、胡椒、丁香など。これら十数種類の漢方薬と香辛料はいずれも体を温め、風邪などへの抵抗力を高める効果のあるもので、八珍湯や十全大補湯など産後、手術後、病後の体力回復に常用される漢方薬ともよく似ており、肉骨茶が港湾労働者の疲労回復のために考案され、各地に広がっていったという説を裏付けている。

肉骨茶用の漢方薬

ちなみに、漢方スープのうち、疲労回復をうたったものには甘いものが多く、熱を冷ましたり炎症を抑えるものには苦いものが多い。または選ぶときに高麗人参、西洋参など名前に「参」が着くものを避けると、いわゆる漢方薬独特の苦味が軽減するのでご参考に。「漢方薬は試してみたいけれど、薬臭さが苦手」という方も、ぜひ肉骨茶で漢方薬デビューを。
 

 
 

2021年12月洪水被災者への義援金募集


12月17日から続いた豪雨によりマレーシア各地で大規模な洪水被害が発生致しました。報道によりますと、全国で54人が死亡、2人が行方不明、延べ6万人を超える避難民の多数の方は依然として家に帰れない状況とのことです。

クアラルンプール日本人会としてこの洪水災害に対し、被災者への救済の一助として募金の場を提供し、義援金として被災地者に送ることになりました。
皆様からお預かりした義援金は、クアラルンプール日本人会からMalaysian Red Crescent Society (マレーシア赤新月) にお届けする予定です。

詳細はこちらからご確認ください。
for English : Donation for Flood Relief 2021

KL日本人会事務局



 

 
 

えっ!マレーシア
<ヒンズー教の奇祭 タイプーサム>

 

2022年に入って最初の満月が見られた1月18日は、ディパバリと並んで重要なヒンズー教のお祭り「タイプーサム」の日であった。タミル語で「タイ」は「10th」、「プーサム」は「月が最も明るく輝く時」を意味し、「タミル暦10番目の月の満月の日」を指す。グリゴリオ暦の1月中旬から2月中旬にあたり、毎年旧正月の頃にやってくる。

この伝統あるお祭り、危険を伴う苦行がなされることからヒンズー教の奇祭ともよばれ、本国インドはじめ多くの国では禁止の宗教行事であることをご存じだろうか。それゆえこの日のために海外からマレーシアを訪れるヒンズー教徒も少なくなく、KL郊外バトゥ・ケーブには例年数十万人もの人が集結するが、その危険さからマレーシアでもそのうち見られなくなるのではないかという声も聞かれる。

SOPに従って行われた静かなタイプーサムのお祭り (写真REUTERS.COM)

お祭りは前日の夜にスタートする。サフラン色の衣装を身にまとい、チャイナタウン近くのスリ・マハ・マリアマン寺院に集合し、ムルガン神が祀られているKL郊外バトゥ・ケーブまで15kmもある夜道を素足でひたすら歩く。そして目的地はバトゥ・ケーブの272段の階段を登り切った先にある洞窟内のスリ・スブラマニアム寺院。家族の病気の治癒や子宝などの願い事をしたり、神々に感謝を捧げたりするそうだ。

今年も昨年に続き内容・規模を大幅に縮小したSOPが発表され、顔や背中などに針や鉄製のフックを刺すような苦行の最たるものは許可されず、祈りの儀式はセッションで行われた。寺院により異なるが、バトゥ・ケーブでは各セッション500人まで、お祈りは30分以内という規制が敷かれたようだ。政府が決断したSOPに理解を示す信徒、重要な意味を持つ苦行が禁止となり落胆する信徒など様々だったようである。

ミルクポットを頭に載せ目的地スリ・スブラマニアム寺院を目指す (写真REUTERS.COM)

 
JCKLニュースレター
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