在マレーシア日本国大使館
経済部　黒谷要介

　GW等の大型連休は、マレーシアに駐在されている方にとって直接関係がないかもしれませんが、大使館には関係することがあります。
　日本の通常国会は、毎年1月から6月まで開かれており、この期間は、ほぼ毎日のように国会での審議が行われるため、平日に海外へ出張することは難しいのが現実です。そのため、日本固有の休日制度である祝日や連休の時期を利用して外交日程を組むことが慣例となっています。中でもゴールデンウィークはまとまった日数が確保できる貴重なタイミングです。

　今年のGWは、上川陽子衆議院議員（前外務大臣）が4月26～28日に、武藤容治経済産業大臣が4月27、28日に、岸田文雄前総理が総理特使として、最高顧問を務める「アジア・ゼロエミッション共同体（Asia Zero Emission Community、AZEC）議員連盟が5月5、6日にそれぞれマレーシアを訪問しました。

　大使館としてもこれらの訪問を支援しましたが、この機会を利用してそれぞれの訪問の成果を皆様に共有いたします。
 

●上川前外務大臣の訪問

　上川議員は、主に、4月27、28日に開催された第15回人口と開発に関するアジア議員フォーラム（The Asian Forum of Parliamentarians on Population and Development、AFPPD）総会及び評議会に議長として参加しました。AFPPDは人口と開発をテーマに30カ国の議会人から構成される国際グループです。
　武見敬三前議長から引き継ぎ、上川議員が正式に議長に就任し、４つの委員会(女性活躍・ユース・高齢化、新たに気候変動)を中心に国別報告がなされ、新体制で議会人ネットワークの新たな船出となりました。今回、AFPPDの国際的事務局としてマレーシアが選出され、今後本格的準備に入ることになりました。その他、マレーシア国家人口・家族開発機構やテイ・ラタナ慈愛福祉センターを視察されました。

上川議員のAFPPD総会への参加

●武藤経済産業大臣の訪問

　武藤経産大臣は、4月27～30日の日程でマレーシア及びタイを訪問しました。マレーシアでは、ザフルル投資貿易産業大臣との会談を行い、本年のASEAN議長国であるマレーシアと、AIや次世代自動車等の分野について二国間及び日ASEANの連携を深めていくことや、AZECにおいて連携していくことを確認するとともに、現下の国際経済環境への対応に関する意見交換が行われました。また当地に進出している日系企業と意見交換会を実施し、現地ビジネスの現状・課題及び現下の国際経済環境の不透明性の増大が与えるビジネスへの影響について意見交換を行いました。

 

武藤経済産業大臣とザフルルMITI大臣

●AZEC議員連盟の訪問

　岸田前総理が最高顧問を務めるAZEC議員連盟は、5月３～6日の日程でインドネシア及びマレーシアを訪問しました。AZEC議員連盟は、岸田前総理大臣が自らの政権で提唱した、「AZEC構想」をさらに推進するため昨年12月に設立されたもので、今回のマレーシア訪問にあたっては、岸田文雄AZEC議員連盟最高顧問をはじめ、萩生田光一同顧問（元経済産業大臣・元文部科学大臣）、井上信治同顧問（元万博担当大臣）、齋藤健同会長（前経済産業大臣）、小林史明同副幹事長、鈴木英敬同事務局長、小森卓郎同メンバー（衆議院議員）、小鑓隆史同メンバー（参議院議員）が参加されました。また、岸田最高顧問は総理特使としてご訪問しました。
　マレーシアではアンワル・イブラヒム首相、ファディラ・ユソフ副首相兼エネルギー移行水変革大臣、ニック・ナズミ天然資源・環境持続可能性大臣と相次いで会談しました。また、当地の日系企業と脱炭素事業を進めるにあたっての課題や、目下の経済情勢等について意見交換及びマレーシア日本国際工科院の視察を実施しました。

岸田総理特使とアンワル首相

　岸田総理特使はアンワル首相との会談で、AZECの協力をさらに推進するためAZEC議員連盟を設立した旨述べるとともに、同首相と各国と手を携えてAZECを発展させていく決意を表明し、石破総理大臣の親書を手交しました。これに対し、アンワル首相から、岸田総理特使に対する歓迎の意が示され、AZECの重要性は認識しており、ASEAN議長国としてぜひ協力していきたい旨発言がありました。また、岸田総理特使から、日本が従来重視してきた法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序及び多角的自由貿易体制の維持・強化に向けて協力していくことを伝え、アンワル首相から歓迎されました。さらに、米国の関税措置等が世界経済や多角的自由貿易体制に与える影響についても話題になりました。
　また、ファディラ・ユソフ副首相との間では、日本の省エネ分野などの協力に謝意が示され、サラワク-マレー半島間の送電網整備を含む様々な分野における一層の協力強化について話し合いました。ニック・ナズミ大臣との間では、二国間クレジット制度（JCM）の協力覚書への署名に向けた作業を加速させるとともに、レアアースやサーキュラーエコノミーを含む様々な分野の協力を一層加速すること等について意見交換しました。

 

 

　最後に、要人のマレーシア訪問にあたっては、多くの場面で日本人会の皆様にもご協力いただいております。これまでのご協力にこの場を借りて御礼を申し上げるとともに、今後とも引き続きご協力をお願い申し上げます。
 

 

暑い日が続くこの頃、冷たく冷やした喉ごしの良いマレーシアのデザートはいかがでしょう？

サゴ・プディングとは、サゴヤシの澱粉から作られた粒々のサゴに、グラマラッカとココナッツミルクをかけていただく南国デザートのことです。黒糖に似たコクのあるグラマラッカと、濃厚なココナッツミルクにパンダンリーフの爽やかな香りが溶け合ったハーモニーを味わってみませんか。サゴのもちもち＆プルプルとした食感も楽しいですよ。
 

🍳  材料 (プリンサイズ 3個分)

• サゴ 100g (粒状)
• ココナッツミルク 100ml～
• グラマラッカ 100g
• 水 200ml
• パンダンリーフ 1枚

サゴ  Sago  RM1/100g
サゴは熱帯地域で有名な「サゴヤシ」から採取した澱粉で作られる食材。粒状に加工されることから「サゴパール」とも呼ばれており、アジアのデザートやスープによく使われている。写真のようにピンクやグリーンに色付けされたサゴもある

 

ココナッツミルク  Coconut Milk  RM4/200ml
フレッシュな冷蔵タイプ、常温保存の真空パックなどがある。傷みやすいので早めに使い切ること。余ったら冷凍庫で凍らせて保存できる

グラマラッカ（椰子砂糖）
Gula Melaka  RM9/袋
椰子の樹液を煮詰めた砂糖でコクのある甘さにほのかな酸味がある

パンダンリーフ
Pandan Leaf  RM3/袋
香り付けのハーブで、緑色の着色料としても広く使用されている

🍳  グラマラッカソースの作り方

①鍋に水200mlとグラマラッカを入れる。極弱火で煮溶かし、約70mlになるまで煮詰める(30分～)

②色が濃くなりトロミがついたら、縛ったパンダンリーフを入れて更に2分ほど煮る

③パンダンリーフを取り除き、不純物を取り除くためにザル等で濾す。常温で冷ます

🍳  作り方

①サゴを水で軽く洗い、多めの水(分量外) に30分つけたらザルにあげる

②鍋にきれいな水 (分量外) を入れて沸騰させ、サゴを入れて弱火で茹でる

③浮き上がってきたサゴの7~8割が半透明になったら火を止め、鍋に蓋をして10分蒸らす

④たっぷりの水を張ったボールにサゴを入れ、軽くかき混ぜたらザルにあげる

⑤この作業を3回繰り返す (サゴの表面の澱粉質を落とす)

⑥プリン型容器の内側を水で濡らし、水気を切ったサゴをスプーン等で入れ冷蔵庫で1時間以上冷やす

⑦皿に取り出しグラマラッカソースとココナッツミルクをかけてどうぞ