JCKL newsletter Cover
 
 

駐マレーシア日本国特命全権大使
四方 敬之


 

 
 新年 明けましておめでとうございます。

 日本人会の会員の皆様におかれましては、穏やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。常夏の陽光の下、多様な文化と人々が交わるこの国で、皆様と新たな一年を迎えられますことを、大変うれしく思います。

 昨年は、マレーシアがASEAN議長国として地域の要となり、わが国がマレーシア及びASEANとの連携を一層強化した年でした。1月の石破総理(当時)の訪問に始まり、5月の岸田元総理(総理特使)率いるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)議員連盟一行の当地訪問、10月の高市総理のASEAN首脳関連会合への出席をはじめ、両国間で政府要人の往来が相次ぎました。こうしたハイレベルの往来を通じ、包括的・戦略的パートナーシップの下、安全保障、経済、先端技術、エネルギーなど幅広い分野における協力を具体化する道筋が示された一年であったと考えております。とりわけ、AZECや「AI共創イニシアチブ」など、将来の世代につながる取組が着実に前進したことは、大きな成果であったと考えております。

 こうした政府間の連携の土台には、在留邦人の皆様とマレーシアの方々との日々の交流があります。昨年一年間、私自身、マレーシア各地で、茶道、生け花、盆栽といった我が国の生活に根差した文化、剣道、弓道、合気道に代表される武道など、日本文化を心から愛し、その継承と普及に尽力されている多くのマレーシア人の方々と出会いました。中には、日本人がいない地域で、自ら学び、仲間を集め、地道に活動を続けておられるグループもあり、その情熱とご努力に深い感銘を受けました。

 日本人会の皆様は、長年にわたり、こうした文化やスポーツの交流などを通じて、日本の良さを当地社会に根気強く伝えてこられました。その積み重ねが、当地における日本への信頼と親近感の大きな柱となっています。とりわけ、本年はクアラルンプール盆踊り大会が50回目の節目を迎える年です。日本人会の皆様の御尽力により、多くの方々に愛されてきたこの行事が、これからもマレーシア社会に根付き、両国の交流を更に深める象徴となることを願いつつ、皆様と共に準備を進めてまいりたいと思います。

 本年も、日本国大使館は在留邦人の皆様の安全と安心の確保を最優先に、邦人保護、治安や災害等に関する情報提供、領事サービスの充実に努めてまいります。同時に、日系企業の皆様による投資や事業活動、地域社会との協働が、マレーシアの発展と日本経済の成長の双方に資するよう、関係機関と連携しつつ環境整備に取り組んでまいります。今後とも、日本人会の皆様と手を携えつつ、両国の友好親善と相互理解の一層の深化に努めてまいります。

 結びに、本年が日本人会の皆様お一人お一人にとりまして、健康に恵まれ、実り多い一年となりますことを心よりお祈り申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。


 
 
 


今月の写真
<書道作品『新春万福』>

 

新春万福しんしゅんばんぷく』は「新しい年に、たくさんの幸せが訪れますように」という願いが込められた言葉です。年賀状の賀詞としても人気のある言葉です。

日本の年中行事の一つ「書き初め」は、書いた文字に宿る「言霊(ことだま)」の力で願いが叶うと信じられています。おめでたい言葉を書くことで、その言葉の力を自分に取り込み、一年を良いものにするという願いが込められています。 

この写真は、一般書道部で2025年10月から新たに指導されるようになりました野地 理先生の作品です。


2026年が日本人会の会員の皆様にとりまして幸せな年となりますように。

 

 

イスラム教徒が一か月にわたって断食を行う月「ラマダン」。今年は2月19日頃に始まり、3月20日まで(予定)と発表されています。マレーシアでは、ラマダンバザール、ラマダンビュッフェなど、この時期ならではの催しも行われ、いつも以上にイスラム文化に触れることができる期間となります。同時に、ノンムスリムとして気を付けたいこともありますので、この機会に「ラマダン」 と「イフタール」について知っておきましょう。
 

ラマダンとは?


ラマダン(Ramadan)とはイスラム暦の9月の名称で、ムスリムが毎年行う断食月のことです。太陽が出ている時間帯は断食し、夜間から早朝にかけて食事をする生活を1か月間続けます。地平線に夜明けの光が差した時点から、水・喫煙を含めた飲食を慎むというものです。
断食はムスリムにとって重要なイスラム教五行のひとつで、この月に心身を整え信仰心を高めます。

ラマダン期間は毎年ずれる


イスラム暦は純粋太陰暦(1年≒354日)で、ラマダンの時期は毎年約11日ずつ早まっていきます。2025年のラマダン月の初日が3月2日であったのに対し、2026年は2月19日に早まるように、毎年少しずつ繰り上がっていき33年で一巡します。日にちが毎年ずれることにより、すべての季節を通過するため、世界中のムスリムにとって公平であるとも捉えられています。それぞれの居住地の日照時間に合わせて断食を行うわけですが、日照時間の長い地に住むムスリムは、より厳しい環境下で務めを行っているといえるでしょう。

マレーシアでのラマダンの日付は計算によって予測し、目視で月を観測して直前に確定される

断食を行う目的
 
  • 信仰心の強化と自己鍛錬
    空腹や自己犠牲を経験することで、我慢と忍耐を覚える
  • 食に感謝し、命の尊さを知る
  • ムスリム同士の互助と連帯感の向上

この期間は、経済的に恵まれたムスリムがモスクやコミュニティに寄付を行い、食事を振る舞うなどの互助精神がより強く見られます。断食明けの食事を豪勢にするのではなく、断食した分の食費を恵まれない人のために寄付するのが望ましい姿とされています。
また、ラマダン以外の時期に自主的に断食を行うムスリムも少なくありません。
なお、健康上の理由や特別な状況で断食が免除されるケースがあります。病人、妊婦、生理中・授乳中の女性、子供、旅行者などですが、個々人で後日に断食を行ったり、寄付で代替する場合があります。

いつも以上にコーランを読み、祈りを捧げ、自己鍛錬の期間とする

子どもが何歳から断食を行うかは本人の意思で決めること

ラマダン期間の食事


朝一番のお祈りの前に朝食を済ませます。季節によって時間はずれますが、マレーシアでは午前5時50分頃~午後7時30分頃までが断食時間となるため、いつも以上に早く起きて沐浴し、5時半頃には朝食を済ませます。食事は夜明け前と日の入り後の2回。1日13時間以上の断食を1か月間続けるわけです。
この期間の定番メニューというものは特になく、1日の活動に必要な栄養分と水分をしっかり補給できるものを心掛けて摂取します。各家庭で好きな料理を準備します。
断食明けには、まずデーツ(ナツメヤシの実)と水を口にし、断食を解くのが伝統的です。デーツは消化に良く、栄養価も高いのです。

ラマダンの風物詩「デーツ」はミラクルフルーツとも称される

ブカ プアサ(断食明け)

日没後に最初に取る食事・イフタールのことをマレーシア語やインドネシア語では「ブカ プアサ」と呼び、家族で食卓を囲みます。コミュニティによってはモスクへ手料理を持ち寄ったり、ケータリングを手配したりして、ご近所の皆さんと断食明けの食事を共にする機会も持たれます。経済的に豊かな人が食事を提供することが多く、親交を深める機会にもなっています。イスラム教五行のひとつ「喜捨」として、他人に食事を分けることは非常に価値があることとされています。
 
ラマダンバザール


夕方には各地でラマダンバザールと呼ばれる特設市場が開かれ、断食明けの食事を求める人々で大変にぎわいます。ノンムスリムも入場して購入することができます。

各地の特設ラマダンバザール

から揚げや焼き鳥などが人気

お菓子やデザートも多種多様

ラマダン期間の1日の
スケジュール​​​
Aさんの場合​​​
4:30am 朝食の準備​​​、沐浴、朝食
5:50am お祈り​​​①
7:00am 出勤​​​
1:20pm お祈り​​​②
4:20pm お祈り​​​③
5:00pm 帰社​​​、食事の手配、沐浴
7:20pm 食事、お祈り​​​④
8:30pm お祈り​​​⑤
9:30pm 就寝​​​
食前の祈りは心の中で静かに唱えます

 

ラマダン期間の注意事項
  • 社会活動の時間帯の変化
    大半の企業がムスリムの終業時刻を繰り上げており、早めに帰宅できるようにしています。出勤時刻の繰り上げや昼休みの短縮など、対応は様々です。この期間は何事も余裕を持たせて進め、会議や集中力を必要とする事柄においては午前中に設定できるとベストでしょう。
    マレースクールに限らず、午前・午後の2部制の公立学校では午後の部の下校時刻が17時半頃になるように各授業時間が短縮されます。
  • ノンムスリムの日中の飲食
    匂いの強い食べ物は食欲を刺激するため、極力持ち込まない、飲食の場所を選ぶ等、できる範囲で心を配りたいものです。
  • 交通事情
    交通事故や違反の取り締まりが多くなる期間で、17時~19時頃には大渋滞となり、特に雨の日は注意が必要です。この期間はGRABドライバーが少ない傾向にあるので、早めの行動を心掛けましょう。

ラマダン期間の夕刻は大渋滞に

 

イフタール(Iftar)体験


イフタールとは、ラマダン中にムスリムがその日の断食明けに初めて口にする食事のこと。各モスクでも振る舞われ、費用は寄付金によって賄われています。対して、夜明け前にとる食事はスフール(Sufur)と呼ばれます。

ラマダンはムスリムにとって最も神聖な月と考えられていることから、イスラム教への理解を深める講話やイベントも各所で行われています。以下ではそのひとつ、昨年のラマダン期間中の3月15日(土)にプトラモスクにて行われた「イフタール」について、当日の様子を紹介いたします。プトラモスクでは、ノンムスリムでも気軽に参加できるイフタール、及びイスラム教理解を深めるためのプレゼンテーション等をセットにしたプログラムを毎年行なっています。2026年もラマダン期間中土曜日の開催が予想されますが、本記事執筆時点ではSNS等での告知は行っていないとのこと。興味のある方は、モスクのガイドさんに直接尋ねてみるのがよいでしょう。

観光名所としてもお馴染みのプトラモスク

プレゼンテーション、質疑応答


ラマダンに関する話題を中心に、イスラム教についてプトラモスクのスタッフが詳細に解説。コーランの内容や他宗教との共生など、国籍様々な来場者からの多岐にわたる質問に丁寧に答えてくれました。

普段は中々足を踏み入れることのないプトラモスクの地下ホールにて

モスク内部の見学


イフタールを待つ間にモスク内部を見学。通常プトラモスクの一般開放は午後6時までですが、この日見学したのは午後7時ごろ。夕暮れ時、ライトアップされた内側からのレアな景色を楽しむことができました。



 
イフタール


バイキング形式で各自食事を盛り付け、日没を待っていただきます。マレーシアならではの料理が種類豊富に並び、こちらは全て寄付によって賄われているとのことでした。美味しい食事とともにムスリムの方や他の日本人参加者との会話が弾み、あっという間に夜が更けていきました。

イフタールの時間になるとモスクからアザーンが流れます

マレー料理からハラル中華、デザートまでどれも絶品。ついつい山盛りに取ってしまいます!

揚げ鶏(盛りすぎて埋没)やハラル麻婆豆腐、サラダ、野菜炒め、フルーツなど

敷物の上で大人数で食事を囲む…こういう食事体験のワクワク感は万国共通なのかもしれません

夕焼けが美しいプトラジャヤの街並みをモスクから眺められます
 

イフタールに参加して


「イスラム教に馴染みがなかったり恐怖心を抱いている方々でも、このモスクに来て、ムスリムの私たちと話すことで以前より良いイメージを持ってくれることがある。このイベントを毎年開催しているのは、そうした取り組みの一環でもあるのです」

プレゼンテーション中にモスクのスタッフが仰っていた、最も印象に残っている一言です。
マレーシアに住んでいると、自然とイスラム教のことを考える機会は増えます。しかし、その思想の根底にまで触れられる機会はなかなかないし、デリケートな話題ゆえに聞きづらいと感じている人も多いのではないでしょうか。
今回イフタールに参加して、ムスリムの方々から直接話を伺うことができ、イスラム教への親近感がグッと高まった気がします。ラマダン中の大切な食事の時間に、異教徒の私たちを笑顔で迎え入れてくれる姿勢には、温かい気持ちでいっぱいになりました。
マレーシアのこと、多くの日本人にとって馴染みが薄い宗教のことについてもっと知りたい方には、ぜひ参加を勧めたいと思います。

イベント後に外に出ると...!


本記事ではプトラモスクでのイフタールを紹介しましたが、2025年はKL近郊のムルデカ広場などでも行われていたようです。マレーシアを深く知れる機会のひとつとして、参考にしていただけたら幸いです。
 

参考URL
イスラム教について – ハラル基礎知識|一般社団法人ハラル・ジャパン協会
https://jhba.jp/halal/islam/
Iftar@KL イベント情報
https://www.malaysia.travel/events/iftaratkl-2025


 


 

第31回 新年会のご案内  (会員限定)


 1月 10日 (土)  16:00~20:00 KL日本人会会館にて

令和八年の新年会の目玉として、アクロバットも見られる迫力満点の「ライオンダンス」と昨年大変好評だった中国伝統芸能「変面へんめん」のあっと驚くパフォーマンスをご用意しました。駐車場スペースには日本食を中心とした屋台が多数並びます。

日本のお正月を感じられる「新春琴演奏」「鏡開きと乾杯」「もちつき体験」「おみくじ」「福笑い」、そして「部・同好会によるパフォーマンス・体験・作品展示」「お茶席」「スーパーボールすくい」「射的」など、子供から大人まで楽しめる様々なプログラムをご用意し、皆様のご来場をお待ちしております。

なお、新年会当日1月10日 (土) は日本人会の駐車場が終日閉鎖となります。1月7日(水)~11日(日)は、設営・撤去のため駐車スペースに制限があります。予めご了承のほど、よろしくお願いいたします。
 

プログラムと会場レイアウトのダウンロード


イベント内容 会場レイアウト


新年会実行委員会

 


 

 

JICAだより
<JICA海外協力隊60周年を迎えて ― サバ州の村から始まった絆 ―>


酪農学園大学名誉教授
(株)インターリージョン代表取締役CEO
JICA海外協力隊1989年度1次隊/村落開発普及員(マレーシア)、2024年度9次隊/林業・森林保全(マレーシア)
青年海外協力隊マレーシア会会長
北海道青年海外協力隊を育てる会会長
NPO法人nahiya理事長
金子 正美 


 

私のサバ州での青年海外協力隊活動
 青年海外協力隊(JOCV)派遣が60周年という記念すべき節目を迎えられたこと、協力隊OBとして心より嬉しく思います。
 マレーシアでは60年間に1,600名を超える隊員が活動してきました。
 これまでの日本人会の皆様、JICA関係者の皆様の御協力、御尽力に厚く感謝いたします。
 私は、1989年、北海道庁の現職派遣隊員として、ボルネオ島サバ州コタマルドゥ郡のサリマンドゥ村に村落開発普及員として派遣されました。
 当時のサバ州は、マレーシアの最貧困地帯と言われ、まだ森林の伐採と焼き畑農業が行われていました。私の派遣は、協力隊としては初の「チーム派遣」で、食用作物、家畜飼育、保健衛生、土木施工、村落開発といった異なる専門性を持つ隊員たちが一つのチームとなり村おこし活動を行うことでした。

 1990年当時の村落の様子と私
 

 私たちは、村の先住民であるドゥスン族の人々と共に汗を流し、生活用水確保のための簡易水道づくり、井戸掘り、換金作物の導入、養鶏、衛生環境の改善、村祭りの開催などに取り組みました。
 まさに青年海外協力隊らしい活動でした。夜になれば、地酒「タパイ」を酌み交わし、語り合った日々。高床式の質素な住居で、屈託なく笑う人々の表情は、今でも鮮明に蘇ります。ある時、毎日タパイを飲み、仕事もせずゴロゴロしている男達に、私は、「日本の男は、家族を養うために出稼ぎに出るんだ。食べるものがなくなったら家族はどうするんだ!」と叱ったことがありました。
 その返答は、「日本人は家族と離れて幸せなのか?食べ物がなくなったら、裏山に取りに行けばいいだろう」というものでした。この時、私は、彼らの優しさ、サバの自然の豊かさに気づき、また、それからも、彼らから多くのことを学ばせてもらいました。
 この原体験が、いまでも私の人生の指針となっています。
 

アナログからデジタルへ:36年越しの再挑戦
 任期を終え、日本に戻った私は、北海道庁の試験研究機関である北海道環境科学研究センター、酪農学園大学において、地理情報システム(GIS)、人工衛星・ドローンを用いたリモートセンシング技術による環境保全、スマート農業の研究、教育活動に従事しました。そして定年後の2025年、私は再びサバ州の地を踏みました。
 酪農学園大学とJICAとの連携協定に基づき、今度は2か月間の短期JICA海外協力隊員として、サバ森林開発公社(Sabah Forestry Development Authority 略称SAFODA)キナルートエコフォレストパークに派遣されたのです。
 JICAは、1987年から1994年まで、SAFODAをカウンターパート機関として、「サバ州造林技術開発訓練計画」等の技術協力事業を行ってきました。いまでもキナルートには、JICAの道(Jalan SAFODA-JICA)や、SAFODA-JICA友好の森が残されています。
 この技術協力は、木材伐採跡地や草原化した地域における林業、造林のための技術指導を行うものでしたが、この間にもボルネオの森は、原生林の伐採が進み、野生生物の生息地が失われていきました。このため、富士通グループでは、2002年から2016年まで、本来の植生である「熱帯雨林(フタバガキ科を中心とした混交林)」へ再生することを目的として、従業員からの寄付とボランティア参加を軸にした参加型植林プロジェクトが行われました。
 そして、今、エコフォレストパークでは、ボルネオの森の再生と環境教育を目的として、SAFODA自らが新たなプロジェクトを立ち上げました。
 どこにどのような樹種を植えるか、どのような環境教育プログラムが効果的なのか、日本の先端技術と経験が期待されています。
 36年前、サバ州の奥地の村でアナログ生活を送った私ですが、今は、最先端のコンピュータ技術を用いてマレーシアの森林保全と環境教育に関わっていることに、時代の変化と深い感慨を覚えています。
 

ボルネオの森の再生と「SAFODA-JICA友好の森」
 このエコフォレストパークは、以前は、紙や合板のための造林地でしたが、ここに在来の樹木を植林することによって、ボルネオの原生の森を復元しようとしています。 そして、2025年6月、198ヘクタールの「SAFODA-JICA友好の森」が再設置されました。
 私は、現在、北海道で設立したNPO法人nahiya(ナヒヤ)の代表として、SAFODA、JICA(JOCV)と協働して、この森での植林活動と環境教育活動を企画しています。
 nahiya(ナヒヤ)とは、モンゴル語で、「植物の苗」と「女性の名前」を意味する言葉です。ナヒヤプロジェクトでは、現地で植林体験を行うプログラムの他、企業や個人の皆様に苗木の費用を寄付していただき、植えられた苗木の位置を記録し、蓄積された炭素量の計測値や、写真と共に、ホームページでその様子を確認できる仕組みづくりを検討しています。エコフォレストパークは、コタキナバル市内から車で約40分、ぜひ一度、この新しい「友好の森」を訪れてみてください。詳しくはホームページをご覧ください。

 「SAFODA-JICA友好の森」と私(右端)

NPO法人nahiyaホームページ(https://www.nahiya.org

SAFODAエコフォレストパーク Sonetha所長と植林

エコフォレストパークで活動する早川史織隊員(左)

 皆様の植えた苗木が、ボルネオの熱帯雨林の一部となり、野生生物のすみ家となっていきます。植物の苗(nahiya)が自然を守り、人の苗(nahiya)が世界の平和を守ると信じています。私は、皆様、SAFODA、JICA(JOCV)と共に、世界の自然と平和を守る活動を将来にわたって続けていきたいと思います。
 

JICA海外協力隊
JICAボランティア事業によって派遣される方々の総称。青年海外協力隊の他、シニア海外協力隊、日系社会海外協力隊などがある。
https://www.jica.go.jp/volunteer/60th/

 

 

 

🥄 ポピア (popiah 薄餅) ☕
 


料理講習会講師 ちはる


 

ポピアは、マレーシアやシンガポールの華人の間で受け継がれているニョニャ家庭料理の一つ。小麦粉で作られたクレープ状の薄い皮に、マメ科の根菜 ヒカマ(くず芋)やキュウリ、人参などの野菜、ピーナッツパウダーなどを包む春巻きです。

根菜のヒカマは煮ると切り干し大根のような食感と風味になります。ポピアにはこのヒカマの煮物とピーナッツが欠かせませんが、それ以外の具はお店や家庭ごとにアレンジされることが多いです。

​ポピアを作るには、具材ごとの下準備があるので少し手間がかかりますが、大人数が集まる食卓に映える前菜になります。プラナカンを感じる一品に挑戦してみてはいかがでしょう。

🍳  材料 10個分

ポピアの皮​* 10枚
ヒカマ**650g (正味)​
チキン胸肉 150g​
卵 1個​
キュウリ 1本​
人参 1本​
レタス 適量​
ピーナッツ 100g​

ソース
トウチ(豆鼓) 大さじ2​
オイスターソース 大さじ1​
砂糖 大さじ3​
ニンニク みじん切り2片​
水 50CC​ ​
片栗粉 少々 (とろみ付け)

ヒカマの調味
乾燥小エビ 大さじ2​​
醤油 大さじ2​
砂糖 大さじ1​
塩 少々

**ヒカマ (くず芋)
Bangkuang
Sengkuang
Jicama
などと呼ばれる​。
炒めたり、生のままソースを付けて食べたりする

🍳  下準備


 

*ポピアの皮​
袋から取り出し、お皿に載せて5分ほど蒸す。鍋の蓋の水が滴り落ちないように、蓋に布巾を巻くとよい。
蒸し終わったら別皿に移し、乾いた布巾を被せて冷ます。
乾燥を避ける為、巻く直前に1枚ずつ剥がしながら使うようにする。


 

🍳  作り方

ヒカマ​
①包丁で皮を剥き、千切りにする
②鍋に油を少し入れ、水で戻した乾燥小エビを数分炒める
③ヒカマを入れ、被るくらいの水と調味料を注ぎ、柔らかくなるまで煮る

ピーナッツ​
①中火で5分以上乾煎りする
②茶色の薄皮を取り除き、砕いておく
製菓コーナーなどにあるピーナッツパウダーを使用する場合は、軽く乾煎りすると香りがぐっと良くなる


 

チキン​
①チキン胸肉の皮を取り除き、水を入れた鍋に入れ沸騰させる
②数分煮たら火を止め、蓋をしたまま30分置く
③冷めたら、筋に沿って細く割いていく

キュウリ、人参、薄焼き卵​:すべて千切りにする

ポピアの巻き方(下記8枚の写真を参照)
①ポピアの皮の上部にソースを塗る(お好みでチリソースも塗る)
②レタス、ヒカマ、チキン、野菜、卵をのせる
③最後にピーナッツパウダーをかけて巻く
巻いた後に輪切りにすると食べやすく、乾燥を防ぐ為にラップ等で巻いておくと良い。キュウリが傷みやすいので早めに食べ切ること

ソースの材料を煮る。ハンドミキサーでトウチの粒をつぶして滑らかに

ソースは水で溶いた片栗粉で少しとろみを付け、ポピアの皮に塗る

メインの具材ヒカマは多めにのせる

最後にピーナッツパウダーをかける


 

 

 

*このシリーズで紹介して欲しい食材や調味料・スパイス等あれば、事務局までお寄せください。office@jckl.org.my

 

 

 


今月の漢方
<年末年始の胃腸を整える身近な薬たち>

 

 


国際中医薬膳師、中国黒龍江中医薬大学中医学学士 坪井良和

年末年始を日本で過ごし、またマレーシアへ戻ってくる人も多いだろう。おせち、外食、家族との団らんの食事。そしてマレーシアへの長時間フライト。乾燥や冷えの影響も重なり、帰国後しばらくは「胃が重い」「食欲不振」「腹部の張り」など、胃腸の不調を感じやすくなる。


 

東洋医学では、胃腸を「脾胃(ひい)」と呼び、体のエネルギーを作り出す源と考える。脾胃が弱ると栄養を吸収できず、余分な水分や疲れが溜まりやすくなるため、イベントの続くこの時期は“消化を助けるケア”がとても大切になる。

この時期の胃腸の乱れの要因は「冷え」「乾燥」「気滞」。日本の冬の寒さは体内の「陽気」を消耗させ、胃腸の働きを弱めるため、消化機能そのものが滞りやすくなる。すると、消化不良、下痢、食欲低下につながりやすい。乾燥は皮膚だけでなく体内の水分にも影響し、胃腸の潤い不足を招く。その結果、食品を消化して次の機関に運ぶ「運化」機能が低下し、胃が重い、膨満感、便秘が起こりやすくなる。そして、寒くて体を動かさないことによる「気滞」。座りっぱなし、部屋にこもりっぱなしは「気の巡り」を停滞させ、胃腸の動きが鈍る。 

そんな症状には以下のキーワードで対応する。

  1. 健脾(Jiàn Pí)— 胃腸の土台を整える
    消化吸収の中心である「脾」の働きを補い、“食べたものがきちんと消化され、栄養と代謝物にきちんと分別されること”を目指す。
    代表的な症状:
    ・食べるとすぐ疲れる
    ・胃がチャポチャポする
    ・気候差で胃が弱る
    マレーシアで手に入る薬:保和丸、風沙丸
     
  2. 整肠(Zhěng Cháng)— 腸のリズムを整える
    油分の多い食事への切り替え、エアコンの冷え、旅行に伴う食生活や気候の変化に伴う生活リズムの崩れからくる、主に便通の不調を整える。
    代表的な症状:
    ・下痢、軟便、もしくは便秘、おならが多いなど
    マレーシアで手に入る薬:保済丸、風沙丸
     
  3. 清胃(Qīng Wèi)— 胃の“熱”やムカムカを取り去る
    乾燥や不規則な食事で胃に熱がこもると、ムカムカ、食欲の低下、口の苦さなどが起こりやすい。清胃は、こうした“こもった熱”を落ち着かせ、胃をすっきりさせる考え方である。
    代表的な症状:
    ・胃のムカつき
    ・食欲がわかない
    ・食事が重く感じる
    マレーシアで手に入る薬:保和丸、風沙丸


保和丸は、消化を助ける生薬の配合割合が高く、消化を促して胃の働きを整える薬。
保済丸は、整腸の働きが強く、日本でいう漢方版正露丸のような薬。
風沙丸は、胃腸を整える生薬のほかに気を整える薬が多く配合されていて、暑さと湿気からくる胃腸の症状に強い。

これらの薬は、1~2回分が小さな個包装になっており、マレーシアのコンビニエンスストアや薬局で手に入り、携帯にも便利。

マレーシアでポピュラーな胃腸薬

ふだんの食生活に取り入れられる食薬


ふだんの食生活では、消化を助ける身近な食薬であるショウガ、山査子(サンザシ)、陳皮(チンピ)をお茶やスープに足したり、この3つを煮だして飲むのもよい。 続くイベントや食事会、旅行で疲れた胃腸を立て直すには、まずは、体の中から温めることが大切。冷たい飲み物を避けて、よく噛んで食べる。そして、ウォーキングやストレッチなど軽い運動で気の巡りを促すことで、年末年始の体のリセットにつながる。
 

 
 

 

12月13日(土)に日本人会会館にて恒例のクリスマス会が開催されました。館内には特大ツリーなどが飾られ、クリスマスの雰囲気一色に染まりました。また、サンタクロースやピエロが現れ、子供たちは一緒に写真を撮って大喜び。来場者の皆さんの記憶に残る一日となったようです。
各テナントからは、この日のために一日限定のプロモーションをご提供いただきました。また、本イベント運営にあたり、帝京マレーシア日本語学院の学生さんに様々なブースでお手伝いいただきました。ありがとうございました。
 

  工作・体験コーナー 

紫外線で色が変わる!UVチェッカー ビーズストラップ作り

紫外線に当たると瞬く間にビーズの色が変わりました

ビーズストラップ作りのお部屋

キッズネイルデコレーション

アマチュア無線部による「電気のおもしろ実験」

クッキーデコ💛好きな色を使って自由にデコレーション

竹とんぼはヤスリで磨いてシール等で飾り付け

竹とんぼ部の皆さんが飛ばし方まで指導してくださいました
 

  ゲームコーナー 


 

初企画!自身のスマホをコントローラー代わりにして遊べる「エブリバディ1-2-Switch!」というパーティゲームを行いました。子どから大人まで一緒に大いに盛り上がり、楽しむことができました。

見事MVPに選ばれた参加者

  マジックショー 


 

今回は小さなお子さんから楽しめる手品を披露してくれました。マジシャンからの問いかけに、子どもたちが大きな声で反応してくれたので、会場はとてもにぎやかでしたよ。


 

  部・同好会のステージ発表 

キッズヒップホップダンス同好会

ジュニアミュージックサークル部

杖道・居合道同好会

筝曲演奏同好会

日本舞踊部

バラードバンドサークル同好会

ミュージックアンサンブル同好会

  館内の様子/来場者の皆さま 

サンタさんから子どもたちにスイーツが配られました

ポップコーンの無料配布

バルーンアートのピエロさんと

テナントプロモーションのアイスを満喫

工作の各部屋では子どもたちが真剣に取り組む姿が印象的でした

各ブースでサポートしてくれていたのは帝京の学生さん

竹とんぼ工作&フォトスポット担当の帝京の学生さん

アンケートに答えるとお菓子がもらえました

有馬さん、西村さん、河嶋さん
「クッキーにデコレーションをするのが楽しくて美味しかった!」と笑顔で写真に納まってくれました。
その前に回った「ビーズストラップコーナー」で作ったきれいなストラップも見せてくれました。

藤原さん
「手をつなぐと体に電気が流れてクリスマスツリーが光る"電気のおもしろ実験"が楽しかったです!」とお子さんたち。ご両親は「初めてクリスマス会に来ましたが、こうして学べる機会もあっていいですね」

鈴木さん
フォトスポットで記念撮影!
来るのが遅くなってしまったのでクッキーデコが終了していたのが残念でしたが、ビーズストラップ作りやマジックショーなどを楽しめました。

江間さん
去年のクリスマス会とは異なるプログラムになっていて、いろいろ楽しむことができました。ビーズストラップやクッキーデコ、Switchのゲームなどが楽しかったです。最後のマジックショーもよかったです。

 


 
はぐくみ会<クリスマス>
 

12月3日(水)にクリスマスをテーマとしてはぐくみ会が開催され、19名のお子様のご参加がありました。
クリスマスカード作りでは、ボランティアさん手作りのかわいらしいツリーのカードにシールを貼ったり、折り紙のサンタクロースに顔を描いたりして完成させました。また絵本を読んだり、リトミックとパネルシアターでは歌に合わせて次々と動物たちが出てくる楽しいクリスマスのお話を楽しみました。
最後にサンタさんが現れて、みんなにプレゼントを手渡しして一緒に写真を撮り、この日は盛りだくさんの内容でクリスマスの雰囲気を楽しむことができました。


 

  今後の活動   

1月14日 (水) 
10:00~11:30  
お正月

詳細はこちらから


参加方法 : 
当日始まる前に事務局窓口にて参加チケットを購入
(現金支払いのみ、事前申し込みは不要) 

 

 

 

  1月1日 New Year Day  西暦の新年


日本では一年の始まりの日としてとても大切な日であるが、マレーシアにおける正月は各民族/各宗教の暦に準じて決まるため、この日は西暦が変わるというだけの位置付け。
カウントダウンライブや午前0時の打ち上げ花火などで盛り上がるエリアもあるが、国の祝日にはなっておらず、ジョホール州など5つの州では平日である。(上部の旗はクアラルンプール市旗)

参考)
イスラム教徒の新年:Awal Muharam(2026年は6月17日)
中華系の新年:旧暦1月1日(2026年は2月17日)
タミル暦の新年:4月14日頃(太陽が牡羊座に入る日)
(ヒンズー教徒の新年は、国や地域によって暦の種類や文化的背景が異なり、複数の新年が存在する。マレーシアのインド系住民の8割以上を占めるタミル系(主に南インド出身)にはキリスト教徒や仏教徒もおり、タミル暦の新年を祝う人はかなり少数で、マレーシアの祝日になっていないこともあってほとんど認識されていない。北インドでは商業・文化的に「ディパバリ(ディワリ)=新年」という認識が強い。)

2025年1月1日午前0時の打ち上げ花火


 


えっ!マレーシア  <マレーシアフェア2025>

 

大阪 吹田で開催されたマレーシアフェア2025

2025年を回顧すれば、日本では映画『国宝』の人気、関西地区では大阪・関西万博で大いに盛り上がった年。そして2025年の今年の漢字は『熊』に決まった。

大阪・関西万博が開催されていた2025年6月27日から29日まで、1970年に開催された大阪吹田の万博会場近くの『ららぽーとEXPOCITY』でマレーシアフェア2025が開催された。例年単独イベントとして東京で開催されているが、2025年は国際的に関心の高い大阪・関西万博との連携企画として、更に2026年は『Visit Malaysia Year 2026』ということもあり、より多くの人たちにマレーシア文化や観光をアピールするために、駐日マレーシア大使館が初めて大阪での開催を決定したようだ。

例年より多いアトラクション、観光ガイドや文化的展示物、アクティビティ、 食欲をそそるお料理等、たくさんのブースでにぎわっていた。メインステージではさまざまなパフォーマンスが繰り広げられ、マレーシアの食文化を伝えるライターとして有名な古川音さんが、具体的なマレーシアの料理や暮らしを紹介されていた。マレーシア行きの航空券が当たる大抽選会もあり、例年開催の東京とは趣きが異なっているのを強く感じた。東京開催では、どちらかというと日本に住むマレーシアの人たちが1年に1回集う場所というイメージが強かったが、大阪開催では日本の人たちにまだまだメジャーではないマレーシアの魅力を発信、PRする場になっていた。

マレーシアフェアのパンフレット

マレーシア観光年2026マスコットの紹介ページ

伝統舞踊でイベントを盛り上げ
 

ヘナタトゥー体験(300~500円)
 

マレーシア食品の販売
 

マレーシアフードを売るキッチンカー
 

そして、マレーシア観光年2026マスコットキャラクターであるマレーグマの『ウィラ』と『マンジャ』も初登場!!そう、2025年の今年の漢字の『熊』と偶然とは言え、何かつながっているような感じがしてしまう。今日本では『熊』は困った存在として取り上げられているが、マレーグマは愛らしい存在として、マレーシア観光年をどんどん盛り上げていってほしい。
 

JCKLニュースレター
【編集委員】
  • 柳井 教男(編集長)
  • 松尾 義裕(副編集長)
  • 五十嵐 胡桃(編集委員)
  • 上野 周子(編集委員)
  • 勝田 羊奈子(編集委員)
  • 木村 もと(編集委員)
  • 澤村 文江(編集委員)

*掲載の内容は変更が生じる場合があります。
ご意見やご感想は事務局ニュースレター担当までお願いします。

office@jckl.org.my